第10章 夢のあと
胸を撃たれ
重症だった男の証言により
魅音は
二代目となり遺産を引き継いだ後のリンを殺し
義理とはいえ家族である自身とその息子のレイがリンの財産を相続することで
全てを手に入れようと企んでいた事が公になった
そして
3名が死亡したあの夜の事件は
暁辰会の内部抗争として処理された
魅音の葬儀は
内々で行われた
火葬が済むと
リンは魅音の入った骨壷をレイに手渡した
亡き母の遺骨を抱きしめるようにしているレイに
背中を向けて歩き出した
次の瞬間
背後でガシャンと音がした
振り返ると
拳銃を握るレイの姿があった
その銃口は
真っ直ぐリンに向けられている
慌てて間に入ろうとした護衛を片手で制し
リンはレイの目を見据えた
鋭い銃声と同時に
左肩に焼けるような痛みが走った
レイはその場に居た構成員達に腕を掴まれ
拳銃を取り上げられた
地面にねじ伏せられているレイを
リンは静かに見下ろす
『………離してやって……』
「……でも!………………分かりました……」
開放されたレイを一瞥もせずに
リンはゆっくりと車に乗り込んだ
リンを乗せた車が走り去るのを
レイはいつまでも睨み続けていた