第1章 クリスマスの夜
2時間程して
響也は眠りから覚めた
ナナが寝室から毛布を持ってきて
掛けてくれていた
彼女は床に座り
ソファに顔を伏せるようにして眠っていた
柔らかそうな長い髪の隙間から覗く寝顔は
とてもあどけなかった
「……」
響也は指を伸ばして
ナナの頬にそっと触れた
その瞬間
ナナは弾かれたように目を覚ました
「……っ…ゴメン…」
『……』
見開かれたナナの瞳は
恐怖に怯えていた
「…………ナナ…?」
状況を把握したナナは
安心したように息をついた
青ざめた頬に触れると
ナナは微笑んでくれた
けれど響也は
さっきのナナの表情が忘れられなかった