第6章 ある夏の夜※
「……ぇ……ナナちゃんてそんなに若かったの⁇……大人っぽいのねぇ…」
愛子は響也をなだめるように言った
「…怒らないでよケイ……スグにお暇するから………ナナちゃんの社会勉強だと思って…もう少しだけ……ね…いいでしょ?」
響也は小さくため息をついて愛子の隣に座った
雅は響也のドリンクを作り終えると
ナナの隣に席を移した
響也の冷めた視線を受けて悲しそうな顔をしているナナに
雅は明るい声で言った
「……クスクス……災難だったな……愛子さん…メチャメチャ強引だろ…?………ウチの店来る前に…もう相当飲んだんじゃね?」
『……ウン……この近くのお店で…ひとりでワイン2本飲んでた…』
「…アハハ…スゲーな……さすが愛子さん…」
会話をしている間も
ナナの視線が響也と愛子の方を向いている事に
雅は気付いていた
しばらくして
他のテーブルに雅が呼ばれた
「…ゴメンなナナ……チョットだけ待ってて…」
響也に軽く目配せをすると
不安そうな顔のナナを残して雅は席を立った
代わりに座った男は
既にかなり酔った様子だった
「……君…スッッゴィ綺麗だね〜………向こうで噂になってるよ………誰がヘルプ入るかジャンケンしたくらい…」
『……』
「……取り敢えず乾杯しよ?何飲んでるの?」
『…ぁ…ウーロン茶です…』
「……えー…そんなの飲んでないで…コッチ飲みなよ……ホラ……俺のひと口あげるから…味見してみて…」
『…だ…大丈夫です…』
「…そーんなツレない事言わないで……ね?……酔った君を見せてよ…」
男がナナの口元に自分のグラスを近づけながら
馴れ馴れしく肩に腕を回そうとした瞬間
響也が立ち上がった