第5章 笑顔の裏側
愛子は隆司と親しく話している途中で
隣にいるナナに気付いた
「…アラ…あなたこの間の…」
『……こんばんは…』
「アレ?愛子さん…ナナと知り合い?」
「この間…雅ちゃんの事見掛けて…その時に一緒だったの…」
「…そうだったのか……彼女…ウチの店手伝ってくれてるんだ」
「…あぁ……どうりで着てる服とか…私好みで素敵だな〜と思ったのよ!……名前…ナナちゃんていうのね…よろしく」
『…ぁ……よろしくお願いします』
「ナナ…愛子さんは…芸能事務所の社長さん…V系のバンドをいっぱい抱えてて……雑誌の撮影とかで…俺が選んだ服使ってもらったりしてるんだ」
『…そうなんですか…』
「…まだスタイリストまで付けてあげられない子達も多くてね……隆司のセンス…頼りにさせてもらってるのよ……ぁ…また近々お願いするわ…」
「了解です」
愛子は隆司に「連絡する」と言うと
グラスに残った強そうな酒を一気に飲み干して席を立った
「…それじゃ……ナナちゃん…またね…」
愛子の去ったあとには
香水の甘い香りがいつまでも残っていた