第4章 朝日
次の日からナナは
" ROTTY "で働き始めた
am 8:30に目を覚まし
眠っている響也をなるべく起こさないように
そっとベッドを抜け出す
顔を洗い
身支度を整えて外へ
マンションから早足で10分程歩くと
店に到着した
働き始めたばかりの頃は
店長の隆司も早く店に来て
一緒に開店準備をしていたが
1か月も経つ頃には
ナナももうすっかり仕事に慣れて
店のシャッターの鍵を預けられるまでになっていた
隅々まで掃除し
商品を整えているうちに
オープンの時間になる
朝一番の時間帯は
そんなに忙しくなる事は少なかった
am 11:30
隆司が出勤してくる
「ナナー おはよー」
「ぁ…おはよ店長」
ナナは
トルソーに着せた服を整えながら言った
『店長ー…入り口のトルソー、コレでいいかな?……朝イチでシャツとジャケットが売れたの…』
「お、ありがとな!新しいディスプレイも良いね」
『…良かった……ぁ…それと…新作のキャップと、スタッズ付きのバッグも出たよ……バッグの在庫はコレで最後だった…』
隆司は棚から在庫表を取り出した
「…じゃ、発注かけとく……色違いもついでに頼んどいた方が良さそうだな…」
『…ウン…その形…人気あるから…早めに在庫キープしておいた方がいいと思う…』
「分かった…ありがとな」
一緒に働き始めてから
ナナは
隆司が自分を見守ってくれているように感じていた
隆司はいつも優しく
時に自分を頼りにしてくれた
ナナはそれがとても嬉しかった
" ROTTY "は居心地の良い
ナナの居場所になっていった
ナナは隆司の気持ちに応えたくて
自分の出来る限りの事をしようと
精一杯頑張っていた