第1章 クリスマスの夜
12/25 am3:00
都内の繁華街のはずれ
とあるマンションの前に
一台のタクシーが止まり
酒に酔った様子の男が降りた
小雪の舞う中
ふらつく足取りでエントランスの方へ歩きながら
ふと、斜め向かいの道路脇にあるゴミ収集場を見ると
段ボールの箱からのぞく2つの目が見えた
男が近づくと
段ボール箱の中で
1人の女が膝を抱えていた
「んー?」
飲み過ぎて幻覚を見ているのかと思った男が顔を近づけると
女は怯えた様子で小さく背中を丸めた
「……何してんの?こんな所で…」
話し掛けても
女は何も答えず
箱の中で丸くなっているだけだった
「………フッ………何か……オマエ…プレゼントみたいだな…」
『……』
「……誰も拾わないなら……俺が貰っていい?」
女が恐る恐る顔を上げると
目の前に男の手があった
ためらいながら伸ばされた女の手を
男は力強く掴んで立ち上がらせた
女はキャミソール1枚という格好で
足元は裸足だった
「……」
『……』
男はため息をつくと
女の身体を抱き上げ
マンションへ入っていった