第24章 暴走
ぎりぎりと締め上げられる奴の腕の中で、アウラが苦痛に顔を歪める。
「アウラ...!!!」
白く細い喉に食い込む容赦のない指先。じわじわと赤紫に染まっていく肌と、苦しげに悶える姿が、震えるほどの恐れを掻き立てる。戦闘では感じたことのない、手足が痺れ心臓が抉られるような恐怖。
「やめろ……やめろ、放せ……ッ!!」
───やめろ。頼むから。もう奪わないでくれ。
もう二度と御免だ。あんな想いをするのは。
「…っぅ、はッ…」
ドフラミンゴの腕に弱々しく爪を立てるアウラ。口から、苦しげな息が漏れる。
「……アウラッッ!!くそ……ッ」
いくら脳が動けと絶叫を上げても、自分の意に反して体は鉛のように重く、能力はおろか、立ち上がることすらできない。ドクン、ドクンと、耳元で心臓の音だけがうるさいほどに跳ねる。
色を失っていく視界の中で、ドフラミンゴとアウラの影だけがやけに生々しく目に映った。
───駄目だ。やめてくれソイツだけは。
「……やめろ……やめてくれ……」
振り絞った自分の声がどこか遠くから聞こえるようだった。
懇願する俺を嘲笑うかのように、ドフラミンゴはますます腕に力を込めた。必死で足掻く細い指先から、徐々に力が抜けていくのが分かる。
今にも千切れそうだった呼吸の音が、徐々に聞こえなくなっていく。駄目だ。そんな。やめてくれ。
目の前で弱っていく姿を見ながら、口から漏れたのは掠れた、獣のうめき声にも満たない呼気だけだった。