第8章 決意
親愛なるシスター・ローリエ
また、その子供たちへ
お久しぶり、アウラです。
みんな、元気にしていますか?
あたしは何とか元気にしています。
突然いなくなってしまって本当にごめんなさい。
あたしも予期せぬことに巻き込まれて、すぐに帰れなかったの。
もしかしたらシスターはマザーから何か聞いているかもしれないね。
──色々あって、ジョナサンはマザーの元で預かってもらうことになりました。
王都の教会はとてもいいところだったし、(シスターは知ってると思うけど)マザーも本当に素敵な方でした。
ジョナサンはあそこできっと愛されて育ってゆくでしょう。
また時間ができたらみんなで会いに行ってあげてね。
あたしはというと、その後もちょっとした事件に巻き込まれて今はグランドラインのアラバスタという国でお世話になっています。
ひょんなことから何とその国のお姫様と仲良くなって、とても良くしてもらってるの。
だけど、ここももうすぐ発つつもり。
本当はミカヅキ島へ帰ろうかと何回も思ったんだけど…。
シスター、最初で最後のあたしのわがままを聞いてもらえますか。
あたし、海に出て自由に生きるのがずっと夢だったの。
初めてミカヅキ島を出て、旅をして、世界は驚くようなことで溢れかえっていることを知りました。
あたしはまだまだこの世界の不思議を知りたい。
それと、これは誰にも言ってなかったんだけど…。
あたし、会いたい人がいるの。
今更気づいたんだけど、あたしがずっと結婚したくなかったのはきっとその人のせいなの。
だから、その人に会えるまで、旅を続けてみようと思っています。
ライにはあたしから断りの手紙を書くね。
今思えば彼には失礼な態度ばっかりだったなと反省してる。ま、奴にも非はあるんだけど。
今までもものすごく心配かけたと思うけれど、もうしばらく教会をあけることになります。
こんな身勝手なあたしをどうか許してください。
いつか必ずそこに帰るから。
あたしの帰る場所は世界にただ一つ、マリーゴールド教会だけだから。
シスター、みんな、お元気で。
また会いましょう。
愛を込めて
アウラ
第8章 『決意』 <END>