第1章 出会い
「………フッ………でも……君…全然酔ってないでしょ…」
『……』
「……じゃなきゃ…あんなに早く階段上がれないよ…」
『……』
女は急に真顔になると
サトルから身体を離した
『……からかうつもりなら…アッチ行って………それとも…説教でもする気?』
「……ゴメンゴメン…そんなんじゃないんだ…」
『…じゃあ何なのよ!とにかく私の邪魔しないで!……最近嫌な事ばっかりあって…今日はメチャクチャにして欲しい気分なの!』
サトルは女の身体を抱きしめた
『…なっ…』
「……そういう時……オンナノコは……“優しくして欲しい”って言った方がいいと思うよ…」
『……』
「………フッ………いいよ……行こ…」
『…?…』
「…ホテル…」
サトルは微笑んで立ち上がると
女の手を引いて公園を出た
そして
手を上げてタクシーを止めると
運転手に行き先を告げた