第8章 別れ
サトル side
その夜遅く
マネージャーから電話があった
社長も交えた事務所の上層部との話し合いの結果
彼女は従姉妹ではなく
遠い親戚関係で通す事に決まったという連絡だった
僕のマンションに出入りしていたのは
その親戚が同じマンションに住んでいたからで
現在はその親戚家族が遠くへ引っ越しをしたため
彼女もバイトを辞めざるを得なかったという事にすると
「……向こうがこれ以上深く追求するようなら……社長も各方面から圧力をかけるつもりだと言っていたわ…」
「……」
「………サトル………アナタにしてはずいぶん軽率だったわね。………でも…決定的な写真を撮られる前に彼女と別れられていた事で…ギリギリ救われたわ。………もし……今もアナタ達の関係がそのまま続いていたらと思うと…………あぁ……考えたくもない…」
「……」
リサから連絡が来ても
絶対に会わないようにと再度念を押され
マキとの電話は切れた
リサが突然出て行った理由
それは
紛れもなく僕のせいだった
彼女を守ると誓ったのに
実際には
彼女が僕を守ってくれていたのだ
わざと
突き放すような言葉を投げつけたのは
未練を残さないためだろう
リサは
僕の為に
全てを捨てた
小さなスーツケースをひとつだけ持って出て行った
あの後ろ姿が忘れられなかった