第8章 別れ
サトル side 続き
リサがマンションを出て行ってから
数日が過ぎた
何度掛けても電話は繋がらず
彼女からの連絡も一切無かった
心配になった僕は
人を雇って
リサの足取りを調査した
彼女は自宅に戻っている様子がなく
学校にも行っていないようだった
突然バイトも辞めてしまった事を聞いた僕は
マネージャーに無理を言って時間を作り
" SAISON " を訪ねた
ドアを開け店に入ると
シンヤが声を掛けた
「…おー…サトル…お疲れ…」
その声を聞いて
店の奥からタクミが出てきた
タクミはツカツカと僕に近寄ると
突然殴りかかってきた
「……!…」
「タクミ!オイ!やめろ!」
シンヤや他のスタッフ達に抑えられ
僕から引き剥がされると
タクミはエプロンを外してカウンターに置いた
「…俺……今日でバイト辞めます。………お世話になりました…」
タクミはそう言ってシンヤに頭を下げると
店を飛び出して行った
僕はタクミの後を追いかけた
「タクミ!待ってくれ!」
大通りに出る信号の手前で腕を掴むと
タクミは立ち止まり
乱暴に僕の手を振り払った
「……」
「……俺………謝りませんよ…」
「……タクミ…………教えてくれ……何があった…」
「………フッ……何って……そんなのアンタが一番分かってる事だろ!散々騙してきたくせに!他人事みたいに言うな!」
タクミは
殺気立った目で僕を睨みつけた
「……アンタ…最低だ…」
大通りの向こうに走り去る背中を
僕は茫然と見つめていた