第7章 不安
穏やかに時間は流れ
数ヶ月が経った
ある日
週刊誌の一面に
大きな記事が載った
" 俳優・真山サトル ドラマ共演女優と熱愛 "
内容は
事実とはまるで異なる
根も葉もないものだった
けれど
国民的人気俳優のスキャンダルに
世間は大騒ぎになった
芸能リポーターは
仕事もプライベートもなくサトルを追い回し
マンションの出入り口にも
カメラを持った連中が待ち構えるようになった
「……ゴメンな…リサにも迷惑かけて…」
『…サトルは…何も悪くないよ…』
「……リサの事は…誰にも気付かれてないから……これまで通りに生活してもらって大丈夫だと思う…」
『……ぁ……うん…』
「……どうした?……何か…嫌な目にあったのか?」
『……ううん………そうじゃなくて……』
「……?」
『……私の事が…もしみんなに知られてしまったら……サトルは…どうなるの…?」
「……」
『……だって……本当じゃない事でもこんなに大騒ぎになるんだよ…?………私が…ココに一緒に住んでるなんて分かったら…』
「……リサ…」
『……怖いよ………サトルの全部……私のせいで壊れちゃうかも知れない…』
サトルは泣きそうな顔のリサを
なだめるように抱きしめた
「……リサ……大丈夫……そんな事にはならない………大丈夫だよ…」
『……』
「……でも、もし……もし…僕達のことが周りに知られてしまったとしても…リサは僕がちゃんと守るから。……だから安心して…」
サトルはそう言って微笑むと
リサの髪を優しく撫でた
『……』