第22章 唯一望んだもの(❤︎)
「ええ。恐らく貴方より前から。天使は高貴な存在です。誰もが欲しがり、手に入れたいと思う存在です。その中でも高潔な血を持つ彼女は他の誰でもない貴方を選んだんですよ」
「!」
「天使が花嫁というだけでも魔族からして見たら羨ましい限りなのに、貴方はまだ彼女に何かを望むんですか?」
「ボクはあの子に一目惚れをして、やっと彼女を手に入れることができた。でも彼女は何を恐れているのか、ボクの愛を受け取るだけで、自分からは返してくれない。あの子は確かにボクを想ってくれているけど…ボクが望むのはいつだって"たったひとつ"だけなんだ」
眉を下げ、悲しい瞳を宿したライトはどこか寂しげに呟いた。
「彼女も大概ですね。貴方のような変態に好かれ、花嫁になったんですから。もはや普通ではありませんね。ふふっ」
「んふっ。またまた…。素直にボクが羨ましいって言えばいいのにね?」
「ライト…私は忙しいのです。貴方とのくだらない会話に割く時間などありません。わかったら、今すぐこの部屋から出て行きなさい」
そしてライトはレイジの部屋を追い出される。
「あーあ…怒らせちゃった」
そのまま自分の部屋に戻ったライトは頭を悩ませていた。
「レイジが使いものにならないとなると…どうしようかな。なにか他に……あれ?」
「せっかくこの間、みんなで掃除して部屋を綺麗にしたのに…もう新しい贈り物が届いてる。困るよ〜またボクが怒られるのに」
うんざりとした溜息を吐き捨て、山積みになった贈り物をひとつずつ開けていく。
「これは衣類、これは食器…この小さくて軽い箱はなんだろう?」
「怪しいなぁ…使用人たちが調べてるから、危険なものはないはずだけど。差出人は…なになに…?ドイツの薬剤研究所からだ」
「『逆巻家当主様…パートナーとの倦怠期を感じたら、お使いください』……?」
メッセージカードにそう書かれていた。
「ふ〜ん、これはこれは…。久しぶりに、楽しいことになりそうな気がするよ。んふ。」
◇◆◇
【ダイニング】
「やっぱりここにもいない…」
ライトくんを探しにあちこち探し回ってみるが部屋にもおらず、ダイニングへとやって来るもここにもいなかった。
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