第12章 誤解とすれ違いの誕生日(❤︎)
【自室】
「アヤトくん、はい、これ。気に入ってもらえるかわからないけど…プレゼント」
「なんだ?これ。ピアス?」
「アヤトくん、いつも右側だけピアスしてるでしょ?…アヤトくんにはその色が似合うと思って…ルビーにしたの」
私がアヤトくんに選んだのはルビーの色をしたピアスだ。何時間も掛けて選んだから帰るのが遅くなっちゃったわけなんだけど…。それでもこれって言うのがなかなか決まらなくて、その時にこのルビーのピアスを見つけた。
「オレに似合う…か。ククッ。確かにそうかもな。この石、オマエの血みてぇに真っ赤だし」
「石の言葉もちゃんとあるんだよ」
「へえ…なんつーんだ?」
「…情熱、とか…純愛、とか…」
「情熱、純愛……。……サンキュ」
「(喜んでもらえた。)」
嬉しくて顔がニヤけそうだ。
「それで本当はここでケーキを出す予定だったんだけど…」
「それが潰れたコレってわけか。ま、いいや。とりあえず箱から出してみるか」
箱からケーキを取り出す。
「あ……よかった!思ったより潰れてない!」
「オマエって手先器用だよな」
「そうかな?」
「もっと下手っぴかと思ってた」
「う…料理は出来る方だし、お菓子作りもこっちに来てからは上達したよ!」
「……………」
「(アヤトくん黙っちゃった…。いくら上手く出来たとは言え、崩れたケーキを見たら呆然とするのも無理ないよね…)」
ケーキを見つめたまま黙ってしまったアヤトくんに不安を覚え、私は慌てて言う。
「アヤトくん?こ、こういうの嫌いだった…?ケーキだって崩れてるしやっぱり作り直そうか?」
「はぁ!?んなこと言ってねぇだろ!」
「だって無表情のまま黙ってるから…!」
「チッ、なんでもねぇよ!その…たこ焼き味じゃねえのは不満だけどよ…!!」
「そ、そう?ならいいけど…っていうか、たこ焼き味のケーキって…」
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