第11章 ヴァンパイアの花嫁
「そんで…たっぷり快楽を味わったら、その後は…噛んで、噛みまくって…オマエが果てるまで血を啜ってやる。オマエが望む痛みだぜ?」
「……っ……」
「全身でオレを感じろよ、メグル?」
「(アヤトくんの…全てが愛おしい。私は天使でありながらヴァンパイアに恋をした。)」
『果たして君が何を犠牲にして、運命の相手からの愛を求めるのか、楽しみにしているよ』
「………………」
夢で出会った正体不明の【誰か】はまだ分からない。でもアヤトくん達の叔父が口にした名前は聞き取ることができなかった。それも私達に与えられた試練だからなのか、簡単には知ることはできないようだった。
「私ね、アヤトくんと出会えて良かったよ」
「何だよ急に?」
「小さい頃から魔族は危険な存在だって教えられてきたから、アヤトくん達がヴァンパイアだって知った時は絶対に関わりたくないって思ったの」
そうじゃなきゃ天使の血を吸い尽くされる恐れがあったから。子供の頃から母様に魔族には関わるな、繋がりを持つなと言われてきた。
「でもアヤトくんと過ごすうちに、"逆巻アヤト"っていうヒトに惹かれてる自分がいて…魔族に恋をしちゃ駄目だって分かっていたのに、それでも自分の気持ちに嘘はつけなかった」
不器用だけど優しさをちゃんと持っている人。時々乱暴だけど私を奪われたくなくて、必死に繋ぎ止めようとする素直じゃない人。
「私は許されない罪を犯した。もう天界には帰れない。神様はきっと魔族と恋に落ちた私を許さない。それでも…私はアヤトくんと一緒がいい」
「!」
「だって今すごく幸せなんだもん。アヤトくんと出会ってたくさんの感情を知った。私に恋を教えてくれた。愛を注いでくれた。私、アヤトくんのことが大好き…!」
「…よく恥ずかしげもなくそんなに語れんな。聞いてるこっちが恥ずいっつーの」
「(ふふ、珍しく照れてる。)」
突っぱねた言い方だけどアヤトくんの顔が少し赤らんでいた。
「大体許されねぇ罪を犯してンのはオレも一緒だろ。ま、オレもオマエと一緒にいてそれなりに楽しいし?オレが飽きねぇうちは一緒にいてやるよ」
「もう…」
「好きだぜ、メグル」
互いに唇を重ね、二人で笑いあった。
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