第10章 ※交淡如水 【冨岡義勇】 2 完
ある日、あやは改まって義勇に呼ばれた。
目の前に座らされ、義勇に聞かれる。
「あや、お前はこれからどうする?もう鬼殺隊は無くなったし、俺の体も随分回復した。もう俺の世話は任務ではない。」
「はい。私には帰る家も無いので、引き続き、あなたのお世話をさせてもらいたいと思っています。」
「俺は痣が出たから、数年で死ぬぞ。」
「・・・それは不安ですけど、だからといって自分の気持ちが変わるわけでもなく、このまま傍にいたいという気持ちです。あなたはどうですか?」
「・・・利き腕もなく、迷惑を懸けるだろうから心苦しいが・・・。傍にいてくれるなら嬉しい。」
「・・珍しく素直ですね。・・・ここに住んでいいですか?」
とあやが訊いたら、
「他にどこに住むんだ?蝶屋敷から通うのか?」
と聞き返され、おいでと傍に呼ばれる。
行くと義勇に抱きしめられた。
そして耳元で「夜はもう一緒に寝てくれないのか?」といつものいい声で聞いてくる。あやは赤くなりながら、義勇を見ると整った顔でにこにこと笑っている。・・・その顔に否と言える人はいるんだろうか?
義勇は決戦が終わってから、本当によく笑うようになった。先日は宇髄の所には赤ちゃんが生れるらしいと嬉しそうに言っていた。
あやも最近体がだるく、熱っぽい。蝶屋敷のカナヲに診てもらって、もしかすると義勇にも良い報告ができるかもしれない。
子育ては苦手そうだが、義勇にはこれまで笑えなかった分いっぱい笑って、なるべく長生きしてほしいと思う。
💧 交淡如水 完