第15章 執念
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『すみません…。ご迷惑をおかけしまして…』
「構わないよ、しばらくは安静にね」
目を覚ました彼は、善法寺に頭を下げて保健室を後にしようとした。すると、「若月!」と善法寺は彼を呼び止めた
『はい?』
「…話しにくいこともあると思うけど、いつでも相談に乗るからね。」
『……はい』
と、彼は善法寺に背中を向けて返事をした。
その背中は、善法寺を尚更不安にさせた。善法寺は、一緒に保健室にいた三反田数馬に保健室を任せて6年生の長屋に向かった。
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保健室を出た彼は、まず1年の部屋に向かった
すでに帰ってきたキリ丸に謝るためだ。
1年は組の乱太郎達の部屋に入ると、3人は彼の怪我に心底驚いていたけどすぐにいつも通り少し話をしてまた一緒にアルバイトをすると言う約束をして1年の長屋を出た。
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彼は、そのまま自分の部屋に戻ってきた。
今日はお腹もすいてないから夕食も取らずに寝るつもりだった。
部屋に戻ると、すでに斎藤タカ丸がいた。タカ丸は彼の怪我を見てすごく驚いていた。タカ丸には笑顔でバイトしてて転んじゃって・・・と誤魔化した。
『すみません…タカ丸さん。オレ今日疲れてるから…もう寝ますね』
「えっ…あ、そうなんだ…」
と、珍しくドライな彼にタカ丸は少し不安感を抱きながらも彼をそのまま寝させてあげることにした。