【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第3章 人でなし
仰向けになって体をベッド下に滑らせる。
そこにはリボルバーがテープで固定されていた。
丁寧にはがし、シリンダーを開けると弾が1発。
(いつでも準備はできていたというわけだ)
元あった場所に戻し、降谷は思考を巡らせる。
(ここには今のそよ香を示すものはあっても
過去のものがまるでない。
彼女の出生から追っていくべきか…)
組織にこの家が知られている以上、
そよ香がここへ戻ってくることは
避けなければならない。
「…これで引っ越しでも考えてくれれば良いが」
降谷はあえて人が侵入した痕跡を
いくつも残し、部屋を後にした。
帰り際、宅配ボックスに梓から預かった紙袋を入れ
そよ香の部屋番号を押す。
マンションの正面玄関を出ると、
あたりは薄暗く、街灯がつき始めていた。