【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第3章 人でなし
「…できた!できたぞ…!!」
白衣に身を包んだ初老の男が
鼻息を荒くして言う。
わらわらと同じ格好をした人たちが
興奮気味に男を囲った。
「本当ですか!?所長!!」
「あぁ、本当だとも。見てくれ」
所長が椅子から立ち上がると
研究員たちが一人ずつ顕微鏡をのぞいていく。
そこには、細胞が綺麗に4分割された受精卵があった。
1つの細胞は他の3つと違い、琥珀色に輝いて見える。
「なんと美しい…!」
ここ、第3研究所の地下では
秘密裏にとある実験が繰り返されていた。
15〜20歳の若い娘を拉致・監禁し、
薬で眠らせて子宮内から卵子を取り出す。
顕微鏡下で卵子と精子を受精させ、人間の受精卵を作っていた。
しかし、これはただのヒト胚ではない。
シャーレの中で生まれた新たな命に
研究員はさらに手を加える。
遺伝子操作だ。
「どうかね?研究の方は…」