【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第9章 渡さない*
「バーボン…!だ、めっ…!
また…!……あぁっ!」
「今は僕だけを見ろ… そよ香…」
グッと指を上の柔らかな肉壁に押し付けると、
そよ香の腰は反り、一瞬ベッドから浮き上がる。
ギシギシと僅かな震えにも鳴き続ける貧相なベッドは
いやらしい吐息をかき消した。
「…そよ香、」
名前を呼んでも、
布団にくるまり枕に顔を押し付けて泣き続ける。
ベッドもシーツも枕も
どうせ買い換えるつもりだったからそよ香のモノで
濡れても構わなかったが、
彼女のこぼした涙のぶんだけ
罪悪感が自分の中で膨らんでいく。
「最低だな、僕は…」
そよ香の小さな口から嗚咽が漏れ聞こえる。
布団から少しだけ出ている頭にキスをすると、
安室は寝室の扉を閉めて出て行った。