• テキストサイズ

イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第26章 外柔内剛(がいじゅうないごう)/後編


なんとか無事に2人は長屋の外に出る。

直後、長屋はグシャリと音を立て潰れた。


『お殿様!』

四郎が駆け寄る。

『ごめんなさい、俺…俺…。』


ふわりと その頭を撫でるとひなが言う。

『逃げ遅れた人も居なかったし、お母さんも無事で良かったね。

慶次を呼んでくれたんでしょう?ありがとう。

はい、これ。』

四郎の手を取って何かを乗せた。


『これ、俺の独楽(こま)!お殿様、取ってきてくれたの?』

『たまたま見つけただけなんだけどね。あー、でも、ごめんね、紐は燃えちゃったみたい。』

四郎が、ぶんぶんと頭(かぶり)を振る。

『いいんだ、紐はまた作る!この独楽、おとっつぁんが死んじゃう前に作ってくれた物なんだ。

ありがとう、お殿様!』

嬉しそうに、四郎は母親の所へ駆け寄ると、二人で深々とお辞儀をし去っていった。


『俺は町の坊主相手に道楽で槍を教えてやってて。

四郎もその内の一人です。あいつの父親は、先の戦に駆り出されて亡くなりました。

でかくなって自分が戦に行く時が来たら、慶次みたいに槍の使い手になって、家族も、お殿様も守るんだ!

…って、大層なこと言ってましたよ。』

思い出すように慶次が笑う。


『そんな日が永遠に来ませんように。』

ポツリと呟くと、ひなは城へと向かって歩き出した。
/ 361ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp