第2章 鉢屋三郎
あれからすぐに出門表にサインをし、学園からだいぶ離れた山に来た私達。動物の気配がしないのが少々不安になる…
鉢「さて、あのあたりで休憩がてら克服をしていこう」
鉢屋先輩が指を指す方向に視線をむければ木陰があった。体力に自信はあるけどだいぶ遠くまで歩いたし、陰で休むのはいいかもしれない…
『はい…』
鉢「そう固くなるな。すぐに慣れるよ」
『は、はい』
歩いてきた道から木陰の方へと方向転換し、また歩き出す
鉢「奥へ行った方がもっと冷えてるだろうから少し奥へ行くぞ。大丈夫か?」
『たっ、体力には自信がありますので平気、です』
鉢「そうか」
『(体力的には問題ないけど精神は問題あります…とか言えない…だめ、緊張と恐怖で吐きそう……)』
鉢「ところでなんだが…」
『は、はい…?』
鉢「君はなぜ男嫌いになったんだ?四年生の綾部喜八郎や下級生、先生方は平気らしいじゃないか」
『え、と…喜八郎や父に自分達以外の男は危険だと散々言い聞かせられまして…』
男性の悪いところばかり聞かされたせいというか…
鉢「…綾部はだいぶ君を好いているんだな」
『赤子の頃から一緒なので…ちょっと過保護といいますか…』
鉢「へぇ、赤子の頃から…まぁ、過保護という点はよくわかるぞ。君のことになると綾部は豹変するらしい。昨日の夜、わざわざ私の部屋まで来て「何かしたら殺す」と殺気を放ちながら言いに来てな。もっと君を知りたくなったよ。」
『うぇ…!?き、喜八郎がすみません…』
先輩相手になんてこと言ってるの喜八郎…!態々部屋に行ってまでするなんて…
鉢「いや、構わない。綾部の意外な姿を見る事ができて楽しかったよ。さて、このあたりに座ろうか」
『は、はい……』
だ、大丈夫かな……