第20章 しんあい *
~夢主side~
今日はお店も杏寿郎もお休みなので、小さな庭で子供達とシャボン玉をして遊んでいた。
春の暖かい日差しを掴むように掌を空へと伸ばす。サワサワとそよ風に木々が揺れる音が心地いい。
隣の杏寿郎も私と同じように手を空へと伸ばす。
「いい天気だ」
そういって私の手を取る。
そして、あの…お日様のような眩しい笑顔を向けられた。
「陽奈子、幸せだ。こうして君と過ごす時間は俺の人生の掛替えのない、宝物だ。この子達も…」
きゅっと指を絡めて握られる。その手はまるで私の全てを包み込んでくれるよう。
それに答えるように微笑み返すと、ふと視界に影が重なった。
そっとキスを落とされて、それを見た子供達が掛けよって来た。
「「とーしゃんっ、かーしゃんっ。だいすき!」」
負けじと自分達も大好きだ!と言いたげにぎゅっと抱きついてくる子供達を抱きしめ、優しい眼差しを向けてまた杏寿郎が言った。
「あぁ!父さんも誠寿郎と愛が大好きだぞ!勿論、母さんもな?」
誠寿郎と愛、私をまとめて抱き締める。
「杏寿郎、この子も……忘れないでね?」
「勿論だ!君に会える日が待ち遠しいな…」
そっと丸く大きくなったお腹を撫でると、その私の手の上に杏寿郎の大きな手が重ねられた。
もう一人、今年の秋に家族が増える。
早く出ておいでと言っているみたいに、誠寿郎と愛の小さな手がお腹を優しく撫で、そっとキスをする。
その顔は既にお兄ちゃん、お姉ちゃんのよう。
その姿を杏寿郎と私は微笑んで見つめた。
私達の可愛い可愛い子供達。
杏寿郎と私の、愛の証。
誠(まこと)の愛
それはきっと、そう……
『しんあい』
なのだから。
END.