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し ん あ い【鬼滅の刃/煉獄/R18】

第8章 気持ち




その時、後輩の一人が身を乗り出しながら聞いてくる。

「もしかして、煉獄さんの彼女っすか!?」

後輩にそう聞かれると恥ずかしいが嬉しくもなる。

「う、うむ!緋里陽奈子だ!俺の大切な人で愛する人だ!」

堂々と紹介すれば「おぉ~!漢っすね!」「めちゃくちゃ可愛いじゃないですか、うらやましいっす!」と口々に言ってくる。

「は、はじめまして…杏、寿郎がお世話になってます!」

ぺこりとお辞儀するとさらに「おぉっ!!」と歓声が上がった。

すると、あの少年が陽奈子の背中にそっと手を置いて「陽奈子席あっちだって、いこう?」とエスコートするように背中を押した。


「よ、よもやっ……!!!」

それを見た俺は、頼んで手元に来たばかりのグレープフルーツを、手でぐしゃりと握りつぶしてしまった。
本来ならば、絞り器で絞ってからその絞り汁をサワーに入れて飲むのだが……
またも"嫉妬"で可笑しくなりそうだった。

「ぶっはは!おー、こわっ!普通それ手で握りつぶすかっ?どんだけ妬いてんだよ!…あの男は陽奈子のことどう思ってんのかねー?ニヤニヤ」

宇髄が楽しそうに片方の口角を上げて、ニヤニヤとこちらを見てくる。

「笑い事ではないぞ!?今のあれはどういうことだ?!陽奈子にさわ」

ぐいっ

言い終わる前に誰かに腕を引かれる。
振り返ると百瀬少女が握り潰してしまったグレープフルーツの後処理をしてくれる。

「杏寿郎さん?食べ物で遊んじゃダメですよー?はい、これで大丈夫です!あ、これ食べます?おいしいですよ!!あ、グレープフルーツも頼まないとですね!」

先程の出来事を忘れさせるかのように、あれこれと何か気を遣ってくれる。百瀬少女のその表情はどこか焦っているように見えた気がした。

だが、俺はあっちが気になって仕方がない。


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