第1章 出逢い
春の暖かい木漏れ日が、私を優しく包んでくれる
ふわっとそよ風が吹くと満開に咲いている桜がヒラヒラと舞い、春を感じさせてくれる。
私は緋里陽奈子。
この春、無事に専門学校を卒業し、夢だったアンティークカフェで働きます!
今日から初出勤なのでカフェに向かってるはずなのですが…
「緊張するな~…、って、あれ?!この道じゃなかったっけ?!」
そうなんです。私、極度の方向音痴ってやつなんです。地図を見ても逆方向へ行ってしまうんです。
「初日から遅刻はまずいよー!!スマホ!お店!電話ーー!!」
慌ててバッグからスマホを取り出す。
はずなのに、スマホが見当たらない。
家に置いてきてしまった。
もう泣きたい。
頭を抱えて、パニックになっていると声をかけられた
「もしもーし?大丈夫ですか?」
振り返るととっても優しそうなお姉さんがいた。
「う、うわー!すみません、お願いです、スマホを貸してくださいー!!遅刻しちゃうー!」
「?えぇ、いいですよ。はい、どうぞ」
「あああありがとうございますー!」
その時陽奈子の手から地図がはらりと落ちてしまった
「何か落ちましたよー?…あら?」
そのお姉さんは地図を見て固まる
「お嬢さんはこのお店に行きたいのですか?」
「あ、はい!そうなんです、実は今日が初出勤でお店の場所が分からず困っていたんです…スマホも家に忘れるし…」
「そうだったんですね!ちょうどよかった、それでは私と一緒に行きましょう」
お姉さんはにっこりと笑って私の手を取り、歩きだした
「(わぁ!慌てちゃって顔よく見てなかったけど、すっごく綺麗な人…)お、お願いします!」
お姉さんはこの辺に住んでる人なのかな?っと考えているとカフェに着いた。
どうやら一本道を間違えていただけらしい
恥ずかしすぎる。