第9章 ヒステリックナイト【納棺師】
×××
目が覚めると、そこは見覚えのない部屋だった。
昨日のことを思い出した。
あぁ、そうか。ここは納棺師の部屋だ。
ふと、身体がやけに冷えると思ったら裸のままだった。
『……後処理…』
ナカからドロっと白いものが流れてきた。
それと同時に冷や汗がさーっと流れる。
『そういえばゴム……はァァァァァァァ』
深いため息をついた。
まさか仲良くもない、ましてや人間でもない奴に中出しされるなんて。
これで身篭ったらどうしてくれるんだよ……
チラッと横を見ると納棺師が眠っていた。
左手で納棺師の髪を触る。
こうして眠っているところを見ると女の子みたいな見た目で、女子顔負けの美形だった。
ふと、左手に違和感があり見てみる……
『……は!?!?』
そこにはキラリと光る指輪が嵌め込まれていた。
同じく納棺師の左手を見てみた、私と似たような指輪がついていた。
よく見ると何かが刻まれていた。
〝E & L〟
完全に私の名前と納棺師の名前だった。
まさか、私とんでもない人に捕まった…?
私は気づかない、恋人でもない彼と結婚するのを受け入れてしまうのがおかしい事を。
こんなヒステリックな夜は初めての体験だ。
この肩にある刻印の本当の意味を知るのはあと少し____
(終わり)