第9章 ヒステリックナイト【納棺師】
安らかに死ねるなんて最高じゃないか。
『貴方も早く楽にしてあげる。』
首元に注射器を近づけた。
『…!?』
パシッと誰かに手を掴まれた。
この部屋にいるのは私と眠っているはずの納棺師しか居ないので、必然的に誰かはわかる。
イ「…驚きました…貴方が人を殺すなんて。」
『……違いますよ。貴方が辛そうにしていたから鎮静剤を打って落ち着かせようと思っただけです。』
イ「…医者でもない貴方が注射器を簡単に扱えるはずがない…」
『………』
イ「…図星ですね。」
『……なるほど、ご飯を食べなかったんですね。』
イ「…そういうことになります。」
『…あーあ、計画が崩れちゃったな〜…なんて言うとでも思った?』
掴まれていない方の手で注射器を持ち替えて首元に刺そうとした。
もちろん、その手も掴まれてしまった。