第5章 喧嘩は程々に!
「いい風だっただろ?飛行術をちゃんと習えばこういうことも出来るんだよフロイドくん!」
「お、おろして……俺が悪かったからさぁ……」
この程度で泣きべそかいてやんの。だらしない。もしやこいつ絶叫マシン苦手だな?
こんなの命綱がないジェットコースターみたいなもんじゃんか。
……さすがにこれ以上やると飛行術そのものがトラウマになるかもしれないから降ろしてあげるか。
「それじゃフロイドくん。adieu!」
「は?うわわわわわわ!!!!!」
くるりと一回転すれば重力に従って落下していくフロイド。
大丈夫。真下に木があることは確認してるから!枝がクッションになってキミを守ってくれるよ!
地面に落ちた音はしなかったから多分枝にひっかかったんだな。
降りて確かめてみると、案の定逆さ吊りになったフロイドが不貞腐れていた。
「……ウミネコくん無茶しすぎ……さすがの俺でも肝が冷えたっての!マジで覚えてろよ!!」
「私は飛行術の良さを伝えようとしたまでさ!楽しかっただろう?」
「楽しくねーわ!!降ろすならちゃんと降ろせよ!!!」
「ちゃんと降ろしてあげただろう?」
「これは降ろすって言わねーの!!落とすって言うんだよ!!!!」
きゃんきゃん喚くフロイドの声が聞こえたのか、ジェイドとアズールがこちらへ走って来るのが見えた。
「フロイド、大丈夫ですか?」
「ジェイド〜!助けて〜!」
動けば動くほど絡まるらしく、身動きがとれないようだ。
ジェイドがおかしそうにくすくす笑いながらフロイド救出活動をしており、アズールは「何やってんだか」と言いたげに呆れてため息を吐いていた。
んー……このまま寮へ帰ってもやることないし、どうせなら飛行術のコツでも教えてあげようかな。
「ムシュー達!私が飛行術を教えよう。きっと少しは役立つと思うよ」
「は?何故です?そんなことして貴方になんの利益が?」
「私がやりたいだけさ。人に教えることで物事の本質が分かり、教える側がより成長できるようになれるのさ」
そう言ってもアズールはなかなか警戒を解こうとしない。
うーん、なんでそんなに野良猫みたいなのよ。人間不信?