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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第3章 目は口ほどに物を言う【ラキオ】


「……わかったよ、認めればいいンだろう?僕がツバサに好意を抱いているのは確かにれっきとした事実だ。でもそれがなンだというンだい?」
「ツバサがさっきラキオに言われたことについて思い悩んでいた。どうするんだ?」
「ああ、消されるかもしれないという話だろう?全く、僕が冗談で言ったことを真に受けるとはね。どうして好きになったのか自分でも理解できないよ」
「相手の行動が自分には理解できなくても心を乱されてしまう……それが、恋なんじゃないのか?」
「汎である君にそんなことを言われるとはね。まあツバサが真に受けるとは思いもしなかったし、僕の方から何か言えばそれで解決だろう?そうしておくから今日はもう帰ってくれない?」
ラキオはツバサへの恋心を素直に認め、ツバサになにか言っておくと話しているし、何より帰れと言われてしまった。もう今日は退散しよう。
それにしても、確かにラキオはツバサに対してはいつもの刺々しさがあまりないように思う。
ツバサを必要としているという意味合いの言葉を放ったこともあるし、やはり大切に思っているんだな。
まだいるだろうか、ツバサ達。
ロビーに戻ったら、まだツバサ達はそこにいた。
「あ……セツ、さん」
「キュ、もう用事終わったのですか?」
「ああ。思ったより早く終わったからまだロビーにいないかと思って戻ってきたんだ。ツバサ、大丈夫?」
「うん、もう平気」
ツバサはいつもの表情に戻っている。どうやら気を取り直したようだ。
「みんな、ありがとうね。ラキオは多分冗談のつもりで言ったんだと思うし、あれだけで落ち込んでちゃダメだもん。今夜絶対残りの一人を見つけて凍らせるんだから!」
「キュキュ!いつものツバサさんなの!」
「はい、僕も、議論の時は協力、します」
さすがツバサだな。ラキオが冗談のつもりで言ったことに気づいている。本人もそう言っていたし、互いへの理解が深いんだな。
「あ、そろそろ空間転移だね」
「ほんとなの、それじゃあ、おやすみなさいなのです」
「おやすみ、なさい」
「ああ、おやすみ」
今夜はラキオを狙うだろう。読めているぞ、グノーシア。
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