第2章 Messiah【レムナン】
目を開ける。
時間帯的には朝なんだろう。
『おはようございます、レムナン様』
「あ、LeViさん、おはようございます……」
まだ眠気の残る声で擬知体に挨拶をする。
こんなにも安心して眠れたのはいつが最後だっただろう。
何よりも、もうあの地獄のことは考えなくていい。
この船で、僕は僕なりに生きればいいんだ。
部屋の外へ出て空腹を満たしに食堂へ入る。
そこには知っている顔がいた。
「レムナン、おはよう。昨日はよく眠れた?」
「ツバサさん、おはようございます。はい、おかげさまで、よく、眠れました」
「そっか、なら良かった。朝ごはん食べに来たんだよね?良かったら一緒に食べよう?」
「は、はい……!ぜひ、ご一緒させて、ください」
備えてあるフードプリンターで朝食を出す。
ここの調理用プラントは素晴らしいですね…食べられるものが、出てくるんですから。
今日はハムエッグトーストにした。
朝食を持ってツバサさんのテーブルに行き、彼女の目の前に座る。
ツバサさんはパンとジャム、それからサラダとコンソメスープを食べていた。
「あれ、レムナンそれだけ?」
「はい……朝は、あんまり食べられないので……」
「そっか、そういう人もいるもんね。私は自分が食べられるだけ食べればいいと思うな」
「ツバサさんは、結構健康的、ですね」
「そう?私基本毎朝これだからさ」
何気ない会話をしながら食事をする。
謎の多い彼女のことをひとつ知れた気がした。
朝食を食べ終えて、地下の動力室へ向かう。
ずっと見てみたいと思っていた、この船の動力。
見たところ新しい船なのに、設備は古いものも混じっている。
機械が沢山あるこの船では、退屈なんてしなさそうだ。
地下の中心にある動力室。
中へ入って動力がどんなものなのか確かめる。
触ると危ないから、見るだけだけれど、見た感じそこまで新しくは無さそうだ。ますます興味がそそられる。