第2章 Messiah【レムナン】
「さ、乗員は少ないけど、まずはメインコンソールに行くよ。ついてきて」
「は、はい……!」
この船に乗って間もない僕を、手を引いて案内してくれるツバサさん。
見たところ年齢は僕とあまり変わらないのに、何故か僕よりも大人びて見えた。
「着いたよ。ここがメインコンソール。操縦席はここにあって、船内の情報はここで統括しているんだ」
「わぁ……すごい……」
やっぱり機械好きにはたまらない。
この船のエンジンだったり、機能だったり、もっと色んなことを知りたい。
そんな意欲を掻き立てられる。
「じゃあ、ここに船長とさっき話したステラを呼ぶね。そこで自己紹介しようか」
「は、はい……よろしく、お願いします」
どうやら今からこの船の船長と"ステラさん"が来るらしい。
人と話すのはあまり得意ではない僕。
邪険にされなければいいなと思った。
コツコツ、とブーツが床を叩く音が大きくなってくる。
ドアが開いた先には、昔の服を着ている帽子を被ったミステリアスな男の人と、緑色の髪で、星のチャームが付いた可愛らしいペンとバインダーを持った綺麗な女の人がいた。
「ツバサ、隣にいる少年は誰かね?」
「彼はレムナンだよ。私が苦しんでる彼を助けたの」
「あら、それは素敵ですね。初めまして、レムナン様。私は長らくこちらのジョナス様に仕えております、ステラと申します。よろしくお願い致しますね」
「あ、ぼ、僕はレムナンです、よろしく、お願いします…!」
「初めまして、だな。私はジョナス。この星間航行船D.Q.Oの船長だ。改めて、この船にようこそ。歓迎するよ」
「よ、よろしくお願いします…!」
こんなこと言ってはいけないとわかっているけれど、なんだか関わりづらい船長だな……
「それでは、レムナン様。まだこの船に来たばかりでいらっしゃいますよね。わたしがこの船の中をご案内致します。どうぞこちらへ」
「私もついていくよ。多少でも知ってる人がいた方が安心できるだろうし」
「す、すいません…。よろしく、お願いします」
そこからはジョナスさんを置いて、ステラさん、ツバサさん、僕の三人でのD.Q.O.ツアーが始まった。