第1章 出会い
最終選別
4日目 月の明るい夜だった
自分の影が落ちるくらいに
「うわー たすけ・・・!!」
「く、来るな!!」
煉獄杏寿郎は声のする方へ走ると、少し開けた所に出た。
鬼は2匹
「大丈夫か!」
「大丈夫?」
ほぼ同時に反対の方向の木の茂みから、杏寿郎以外にもう一人駆けつけていた。
「私は黒い方を。あなたは青を。」
良く通る声がして杏寿郎はその方向を見る。
年の頃は自分と同じだろうか、琥珀色の髪をふわりと靡かせ、翡翠の瞳の少女がいた。月の光のせいもあり、ぞくりとするような美しさだ。
「・・・承知した。」
炎の呼吸 一の型 不知火__
日の呼吸 円舞__
(ひの呼吸?初めて聞く呼吸だ)
ごろりと2つ鬼の首が落ち、ぼろぼろと崩れていく。先ほど助けを呼んだ者たちはどこかへ逃げたようだった。
「お見事!美しい太刀筋だ!」
「あなたも・・・」
「ありがとう!俺は煉獄杏寿郎!君の名を訊いても良いか?」
杏寿郎の溌剌とした声が響き渡る。
「私は 。」
「 良い名だ。3日後の朝、麓で会おう!」
「杏寿郎・・あなた太陽みたい。」
「ご武運を。」
ふわりと花が咲いたように微笑むのを見て
杏寿郎はドクンっと胸が高鳴った。
「ああ 君にも!」