第24章 竈門炭治郎
杏寿郎がいなくなって一週間程経った頃、夢で見た市松模様の羽織の隊士が訪ねてきた。
杏寿郎の最後の言葉を伝えに。
来て早々、槇寿郎さんが彼に絡みに行き、かなりもめていた。槇寿郎さんもまだ杏寿郎のことを受け止め切れていない。
竈門君から聞いた杏寿郎の最後は、とても杏寿郎らしいもので、少し安心した。
「さんには、君のおかげで俺の人生は豊かになった。ありがとう。と」
真っすぐな瞳で教えてくれた。
「そうですか。・・ありがとうと言われたら、私もありがとうと返すしかないね。」
私がそう言うのを竈門君は悲しそうな顔で聞いていた。
「さんに日の呼吸の型について聞いてみなさいと。すぐには見せられないだろうけど、いつか見せてもらうと良い。・・・と」
「さん。お腹にお子さんがいらっしゃるんですね。」
また少し悲しそうな顔になる。
「・・もうすぐ生まれるんです。産まれたら型をお見せします。私の持っている日の呼吸の指南書をあげるので、持っていってください。」
「竈門君が杏寿郎の最後に立ち会ってくれた人で良かった。あなたの素直な心に杏寿郎は救われたと思います。」
「杏寿郎の遺志をあなたなら継げる。私ではなく、あなたに彼は心を託した。みんなの本懐を遂げるために・・。」
お互いまずは体の回復に努めようということと、子どもが生まれたら会いに来てねと伝え、炭治郎君を見送った。
千寿郎は私が久しぶりに笑っているのを見て安心したと言っていた。良かった。私、うまく笑うふりが出来る様になってきたんだ。