第4章 手合わせ
2人は朝食を食べた後、湯あみをし、ぼんやりしながら縁側で話をした。
「君の技を見ていたら、俺はもっと柔軟性が足らんな。もっと体の力をうまく刀に乗せねばな。」
「私は腕力が全然足りない。瞬発力も。」
「後は肺をもっと大きく・・だな!」
「そうだね。もっと大きくしないと。」
2人はお互いの方を見て言い。目が合うと立ち上がった。
「木刀を持って来よう。、稽古をつけてくれないか?君の呼吸や型も教えて欲しい。」
「もちろん!私にも炎の呼吸を教えて。」
「お二人とも、7日7晩の最終選別帰りなんですよね?」
と、お茶を持ってきた千寿郎は驚いて言った。
2人は木刀を持ち打ち合いを始めた。
(は体が柔らかく、手足のしなりや筋肉のバネを使って多彩な攻撃を仕掛けてくる、躱しながらだとこちらの決定打が打ちにくいな。)
(杏寿郎はとにかく力が強い。まともに受けると木刀が飛ばされそうだ。視野も広い。奇をてらう攻撃もことごとく躱される。集中力が切れたほうが負けだな。)
煉獄家の庭を縦横無尽に動き回りながら打ち合いを続ける。
途中一度だけが木刀を弾き飛ばされ、勝負あったかと思われたが、すぐに身を翻し、後ろへ飛びながら杏寿郎の顎先へ蹴りを出した。よけた隙に木刀を取りに行き、また打ち合いに戻った。
「あ・・あの。兄上、さん。昼食の用意ができました。」
昼食の準備ができたので、二人を呼びに千寿郎が来たが、全く聞いてもらえないので、仕方なく槇寿郎の所へ向かう。
「お父上。お二人を止めていただきたいのですが。」
「はぁ?」
「もう1刻以上もお二人で稽古をされていて・・・。」
「今朝、最終選別から戻ってきたのだろう?二人は何をやっとるんだ。」
様子を見に来た槇寿郎は、二人の速さに一瞬驚いた顔をしたが、すぐに桶に水を汲みに行き二人にかけた。
「何をやっとるんだ!朝よりも傷が増えているではないか。それに、目の前ばかりに集中してはダメだ。周りの様子が見れない様だと思わぬ攻撃をくらうことになるぞ!」
頭から水を掛けられた二人は、一瞬ぽかんとした後、真っ赤になった。
「父上、面目ない。」
「槇寿郎様すみません。」
「・・・昼食をとれ。休息も仕事の一つだぞ。」
「はい。」