第10章 エルヴィンの想い
「………え?」
エマが気の抜けた声を出した時、
「エルヴィン。会議が始まる。
例の書類、忘れず持って来いよ。」
ドアの外からリヴァイの声がした。
エルヴィンは、そのままの状態で
「……分かった。すぐに向かう。」
と、返事をした。
「リヴァイ……タイミングが良すぎるな。
どこかで見ていたんじゃないのか。」
エルヴィンはそう言って小さくため息を吐くと、
エマから手を離した。
「そんなにびっくりしたかな?」
目を丸くして固まるエマを見て
エルヴィンは笑う。
「………いや、びっくりしない方が
おかしいと思います。」
エマは固まったままで答える。
「……今までも、かなり態度で
表していたと思うんだがな。」
エルヴィンはそう言って
エマの頭を優しく撫でると、
書類をまとめ始めた。
「さて。私は会議に出るよ。
エマも仕事に戻りなさい。」
エマはエルヴィンに背中を押され、
部屋から出ると、
茫然としたままで食堂に向かった。