第116章 一番必要な人
「取りあえず涙を拭け。」
「……ありがとうございます。」
エマは受け取ったタオルで目元を拭いた。
リヴァイの匂いのするタオルは
心を落ち着かせる効果がある。
「エルヴィンと何かあったのか?」
いきなりの的確な質問に、
エマは思わず黙りこくる。
「何があった。」
リヴァイはエマの表情を見て、
何かを察し、問い詰めるが、
「何もないです。」
エマはそれだけ言うと、また黙った。
「何もないけど泣くのか?」
リヴァイの声は穏やかで、
エマはまた泣きそうになるのを堪える。
「溜め込むのは
お前の性にも合わねぇだろうが。」
リヴァイはそう言って
エマの頭に手を置いた。
「お前が泣くのに付き合ってやるよ。
俺がいないとお前は泣けないんだろ?」
リヴァイのその懐かしい言葉を皮切りに、
エマは泣き出した。