第104章 素敵な恋人と最良の職場
「エマ。もう泣き止んだのか?」
調査兵団の基地に着き、
馬から降りると
エルヴィンはエマの顔を覗き込んだ。
「はい。エルヴィンさんの背中、
濡れてるかもしれないですけど……
すみません。」
「いいんだよ、そんなことは。」
エルヴィンはそう言いながら
エマの肩を抱く。
「君にあんないい友人がいて、安心したよ。」
「私も、自分は幸せ者だと思いました。」
エマは鼻を啜りながら言った。
「でも、君が憲兵団の基地で、
浮いた存在だったことは意外だったな。」
「……そうですか?」
「そうだろう。
ここでは、君を必要としてる人ばかりなのに。」
「私もここに来て、
結構変わりましたからね。
……それに、憲兵団の兵士は、
どうも好きになれなかったんです。」
エマは困ったように頭を掻いた。
「でもここの兵士は、みんな自分の命と
真剣に向き合っていて、恰好いいから。
私もそんな人たちの
力になりたいと思ったのが、
私の中の変化です。」