第99章 恐れ多い恩人
正に5分後、
リヴァイは何事もなかったかのように
起き上がると、
団服に着替え始める。
エマはリヴァイに背を向けて、
着替え終わるのを待った。
「おい、そろそろ出るぞ。」
リヴァイはエマに声を掛ける。
「はい。
でも、一緒に出るのって、
まずくないですか……?」
「こんな朝方に、
俺の部屋を訪ねてくる奴なんかいねぇよ。」
「確かに。そんな恐れ多いことしないです。」
エマはリヴァイの言葉に納得し、
一緒に部屋を出る。
だが、今まさに、
ドアをノックしようとしていたジャンが
唖然とした表情で、こっちを見ていた。
「………恐れ多い人、いるもんですね。」
エマが思わずそう言うと、
「ジャン。
取り敢えず中で話を聞こうじゃねぇか。」
リヴァイはジャンの手を引き、
部屋へ押し込んだ。