第91章 好き
そして、エマにとっては
嫉妬の一日となる、調査3日前。
の、前日の夜。
エルヴィンはエマの部屋にいた。
「エマ。
前もって謝っておくことがある。」
「明日のことですよね?」
エマは嫌な予感を隠しきれず、
ため息を吐いた。
「……すまない。」
「いえ、エルヴィンさんが
謝ることではないので……」
エマは頭を下げる
エルヴィンの手に触れる。
そして、いつもより冷たい手を
温める様に強く握った。
「兵士の士気を高めるのも、
エルヴィンさんの仕事の一つですからね。」
「……君は理解がありすぎるな。」
エルヴィンがそう言うと、
「じゃぁ、嫌です。」
と言ったのを皮切りに、
エマは突然、早口で話し始める。
「自分以外の人が
エルヴィンさんに触って欲しくないし、
自分以外の人を
エルヴィンさんが触るのも嫌です。
勿論キスやそれ以上なんか、以ての外。
とにかく私以外の人に、
優しくしないで下さい。」
捲し立てるように言い切ったエマを
エルヴィンは目を丸くして見た。