第89章 勘違いは勘違い
「……リヴァイさん。
さっきの私の話、聞いてましたか?」
エマはリヴァイに抱き抱えられたまま、
弱々しく呟く。
「ああ。」
リヴァイはそう言っただけで、押し黙った。
階段を降りる足音だけが、辺りに響く。
リヴァイのさっきまでの早い鼓動は
落ち着いたようで、
表情もいつもの冷静さを取り戻していた。
「聞いてたのに、
こういうことするんですか?
勘違いしとけってことですか?」
エマは自分の気持ちが
投げやりになっていることを感じながらも、
リヴァイに問いかける。
リヴァイは一瞬立ち止まり、
何かを考える様に少し沈黙した後、
「勘違いじゃねぇよ。」
と、一言答えて、また歩き出した。
予想外の返答に、エマは絶句する。
「別にお前が嫌いで別れた訳じゃねぇ。」