第87章 最善策
「買い出し、これで終わりですね。」
エマはそう言いながら、
すべての商品名の上に
チェックがつけられたメモに目を向けた。
そして、あることを思い出す。
「今思ったんですけど、
如何わしい本を買うのに、
手を繋がれたままだったのは、
どういう意味があったんですか?」
本屋の一角にある、
“成人向けの雑誌”のコーナーで
エマは強く手を握られたまま
無理矢理雑誌探しを手伝わされた。
しかもリヴァイは、赤面する私を横目に
大っぴらにパラパラと雑誌を捲り、
特に悪びれるわけでもなく、
自分に感想を求めるという
何とも卑劣な行為をやってのけたのだった。
「なんだ。参考になっただろ?」
そう言うリヴァイの顔は、
どこか嬉しそうで
「参考にしませんから!
面白がってただけですよね?」
と、エマは思わず声を荒げる。
「それにしても、お前の判断のお陰で、
予定よりかなり早く買い出しが終わった。」
リヴァイはそう言うとエマの方を向く。
「役に立てたみたいで良かったです。
他に行きたいところ、ありますか?」
エマが問いかけると、
「ない訳ではないが、
お前が行くのは難しい場所かもな。」
リヴァイはそう言って
エマの目を見入った。
「……え、それもまた
如何わしいところですか?」
エマは少し後退りをする。
と同時に、
さっきのアダルトな想像が頭を過った。
だが、
「お前がついて行きたいと言うなら、
最善を尽くしてやる。
最後までお前を導いてやるよ。」
リヴァイのその言葉はどこか魅力的で
エマは息を呑むと、
「……行ってみます。」
そう言ってリヴァイの目を
真剣な表情で見入る。
「お前、後で後悔するなよ?」
リヴァイはそう言うと、
再びエマの手を握り歩き始めた。