第83章 エレンの情動
「エレンはさ、自分に巨人になる
能力があるから、調査兵団に
入ったわけじゃないでしょ?」
エマはエレンに目を向ける。
「エレンが巨人になれないと、
エレンの目的は達成できないの?」
「……いや、そうは思いたくない。」
エレンはそう言って目を伏せる。
「そりゃ、エレンが巨人になれた方が、
目標達成の近道にはなると思うけど。」
エマはエレンの肩に手を置いた。
「エレンは一人で
色んなことを背負い過ぎてるよ。
自分の巨人の力を最大限に使って
巨人を駆逐して、
その力で仲間もみんな守りたくて、
どっちの思いもすごく強くて。」
エレンはエマの目を見入る。
「そんなに切羽詰まった状態じゃ、
身体も心も休まらないでしょ。」
エマは優しくエレンの背中を摩った。
「それにさ、意外と、
もう巨人になんかなれなくていいや!
って気楽に考えてたら、
なれちゃったりするんじゃない?」
エマはそう言って
悪戯っぽく笑って見せた。