第73章 苦悩と切ない恋の物語
「エルヴィンさん、
今どんな顔してるんですか?」
エマは突然沈黙した
エルヴィンの顔を見るため、
身体を離そうとするが
エルヴィンの左腕の力で、
また元の態勢に戻る。
「え、それ、どういう意味ですか?
見せられない顔をしてる
ってことですか?」
エマはますます興味が湧き、
両手でエルヴィンの胸を押すが
離れそうにもない。
「……と言うか、
片腕でも十分抱けてますけど。」
エマは諦め、エルヴィンの肩に顎を乗せた。
「エマ。愛してる。」
エルヴィンの突拍子もない発言に、
エマは一気に赤面する。
「……ど、どうしたんですか、いきなり。」
「いきなりではないよ。
ずっと思っていた。
今まで言わなかっただけだ。」
エルヴィンはそう言ったのを皮切りに
ゆっくり話し始めた。