第73章 苦悩と切ない恋の物語
それから少しあと、
エルヴィンがエマの部屋に来た。
「エマ……やっと会えたな。」
部屋に入るなり、もたれかかるように
エマに抱き着くエルヴィン。
「エルヴィンさん、お疲れさまです。
やっとって言っても、つい数時間前まで
会ってましたけどね。」
エマはエルヴィンを抱きしめながら、
笑顔で言う。
「それでも早く君に会いたかった。」
「エルヴィンさん、恋人同士になっても
甘い言葉言ってくれるんですね……」
エマは恥ずかしそうに言った。
エルヴィンとエマはベッドに腰を掛ける。
「エマ。
一つ気になっていたことがある。」
「………何ですか?」
エルヴィンの真剣な表情を目にして、
エマは一瞬表情を強張らせた。
「君はここに来てからも、
私に普通に接してくれていたが。
私は見ての通り、片腕がない。」
「……そうですね。」
エマはエルヴィンの右腕のあった場所に目をやる。
「君は、それでも私を選んでくれるのか?」
エマはその言葉に一瞬固まると、
「今更何言ってるんですか?」
と、呆れたような表情を見せた。