第65章 余裕のある大人の夜
「……ジャン。
私、これほんとに自暴自棄で
やってることじゃないと思う?」
「それ、俺が判断していいの?」
ジャンは少し笑いながら言った。
「今日、ジャンと一緒に過ごして、
本当に楽しかった。
と言うか、ジャンの隣にいたら、
いつも笑っていられる。」
ジャンはエマを抱きしめたまま、
黙って話を聞く。
「……でも、こんなことしていいほど
ジャンのこと恋愛対象として好きか
分かんない。」
「……そうだろうな。」
ジャンはエマの髪を撫でながら頷く。
「それでもジャンとならいいかなって思うし、
こうしてる今、なんか安心してる
自分もいるんだよ。」
エマは込み上げてくる涙を
堪えながら言った。
「いいよ。分かってる。
とりあえず我慢しなくていいよ。
いつでも泣いてくれていいから。」
「……ジャン、ほんとに何でも分かるね、私のこと。」
エマはそう言うと、ジャン腰に手を回す。
「当たり前だろ。
どんだけお前のこと好きだと思ってんだよ。」
ジャンは抱きしめる力を強めた。
「エマさん。
もう難しく考えるのやめよう。」
ジャンはそう言うと
エマを少し離して目を見つめ、
「俺の初めての人になってよ。」
そう言って、優しく唇を重ねた。