第61章 手放した理由
夜も更けた頃、リヴァイは
エマの部屋のドアをノックする。
しばらくすると、
中からエルヴィンが顔を出した。
「何でお前がここに?」
リヴァイの眉間に自然と皺が寄る。
「エマは寝ている。
取り敢えず廊下で話そう。」
エルヴィンはそう言うと、
エマの部屋から出た。
「エマが倒れた。
私は部屋まで運んだだけだ。」
「……そうか。」
リヴァイはそれだけ言って、
エルヴィンから目を逸らした。
「お前、一体何をしているんだ?」
エルヴィンはリヴァイを睨み付ける。
「エマがあんなになるまで、
放っておいたのか?
いつも側に居るなら気付くはずだろ。」
「それならお前が
側に居てやればいいだろ。」
リヴァイのその言葉に、
エルヴィンは返す言葉を失う。
「俺とエマはもう恋人同士じゃねぇ。
お前の好きにしろよ。」
「……いつ別れた?」
エルヴィンは冷たい声で問いかける。
「壁周辺の調査があった日だ。」
リヴァイの答えを聞くと、
「パーティー会場に来たんだな。」
エルヴィンはそう言って
ため息を吐いた。
「ああ。お前とエマが、
仲良くしてる姿を拝んで帰ったよ。」
「お前はそれだけで拗ねているのか?」
エルヴィンの問いに、リヴァイは答えない。
「そんな筈はないだろう。
誰かに何か言われたのか?例えば、」
そこまで言いかけて、エルヴィンは口を噤んだ。
「何だ。」
リヴァイはエルヴィンを注視する。
「ピクシス司令に会ったのか。」
エルヴィンのその問いに、リヴァイは目を瞑る。
「会ってねぇよ。」
「嘘を吐くな……
お前と何年の付き合いだと思ってるんだ?
そんな嘘を私が見通せないはずがないだろ。」