第60章 疲れた身体
しばらく菜園の手入れをした後、
エマは重い足取りで基地に向かう。
連日の寝不足は、
頭の働きを鈍らせていた。
『……そろそろちゃんと寝ないと、
ほんとにやばいかも。』
エマは心の中でそんなことを思いながら
よたよたと基地まで歩いた。
「エマ。顔色が悪いな。大丈夫か?」
基地の前でエルヴィンに
声を掛けられたエマは、
「エルヴィンさん。お疲れさまです。
会議、今終わりですか?」
と、疲れを悟られない様に明るく振舞う。
「ああ。仕事は増える一方だよ。」
エルヴィンは退屈そうにそう言うと、
書類の入った封筒を軽く持ち上げた。
「そんなことより、エマ。
今日は早く休みなさい。」
エルヴィンがそう言って
エマの肩に触れた、その時、
エマは崩れこむようにして、
地面に膝をつく。
「す、すみません。
何でもないです………」
「そうか。」
エルヴィンは冷静な口調でそう言うと
エマを抱え、歩き出した。
「え、エルヴィンさん、平気です!
ちょっと気が抜けただけです!」
エマは突然軽々と抱えられたことに驚き、
思わず声を張る。
「気が抜けただけで倒れるはずがないだろう。」
エルヴィンは制止を無視し、
エマの部屋へ向かった。