第4章 エルヴィンの部屋にて
しばらく大きな揺れが続き、本棚が倒れ、
本や書類が散らばる音が部屋に響く。
窓ガラスが割れるような音もした。
『………い、痛っ……』
頭を摩りながら目を開けると、
目の前にエルヴィンの顔があった。
あまりの近さに驚き、
エマは後ろに体を逸らすが、
背中には本棚が倒れているようで
これ以上動くのは無理そうだった。
エルヴィンの後ろには、
本棚が倒れかかっているのが見える。
周りは本棚から落ちてしまった本が
散らばっていた。
その時、エマは
ようやくこの事態を把握した。
「団長!すみません!背中、本棚が!」
焦ってエルヴィンの背中の本棚を
押そうとするが、ピクリとも動かない。
「エマ、無事か?怪我はないか?」
そんなエマの心配を余所に、
エルヴィンは心配そうに聞く。
「私は全然問題ないです。でも、団長が」
「いや、私の方も大丈夫だ。
エマの位置からは本棚が私に
倒れかかっているように見えているのだろうが、
実際は本棚と本棚の隙間に
私たちが挟まれている状態のようだ。」
エマの心配を遮るように、
エルヴィンは本棚に目をやる。
「……なるほど。
私たちは倒れかかった本棚の間で、
身動きがとれない状態ってことですね……」
エマは少し安堵し、ため息を漏らした。
その時。
エルヴィンは少し俯き、笑い声を漏らす。
「……エルヴィン団長?」
気でも振れたのかと思い、
エルヴィンの顔を覗き込んだ。
「いや。さっき、
地震が起きたら危ないって話をしたばかりなのに
こんな事態が起きて……
すごい偶然だなと思うと、つい笑いが……」
そう言いながら笑うエルヴィンを見て、
「……ほんとですよ。
地震が起きたら、
私が団長を助けるって話だったのに
ちゃっかり私が助けられてるじゃないですか。」
と、エマも釣られて笑う。