第1章 美少女
ある夜のこと、立派な屋敷から怒号が聞こえた。
パシンッ!
父:「お前たち、女の分際で食わしてもらっておきながら文句を言うつもりか!」
先程の渇いた音は、父が娘2人を殴った音だった。
姉:「ち、違います…た、ただ…」
父:「また口答えする気か!!」
母:「貴方達は本来、不必要な人間だったのに父さんが生きることを許してくれたのよ、感謝しなさい」
:「…はい…ありがとうございます、父さん…」
姉:「…ありがとうございます…」
は姉をバカだと思っていた。今回殴られたのもお腹が空いたとが言ったために、姉は台所から食料を少し取りに分けようとしたところを見つかって、2人とも怒られていたのだ。
母:「さぁ、坊や、ご飯の時間にしましょうね」
父:「2人は先に部屋へ行ってなさい。私はこのバカ娘2人を仕置きしてから行く。」
弟:「姉さんたちはどうなるの?酷いこと、しないよね?」
父:「少し反省してもらうだけだ。行ってなさい。」
弟:「分かりました。その前に…」
そういうと、末っ子の弟は姉2人の元へ走っていき抱きついた。
そして耳元でこう呟いた。
弟:「なんで生まれてきちゃったんだろうね?可哀想に。がんばってね、"お仕置き"」
母:「あぁ、坊やは優しいのね。おいで、姉さんたちは悪いことをしたからお仕置きされるのよ。」
弟:「はい、今行きます。」
もちろん先程の弟の囁きは両親には聞こえていなかった。
娘2人がなぜこのような仕打ちを受けるのか。
彩色家は昔から代々続く豪商だった。そのために世継ぎとなる男児は大事にされるのだ。
もちろん今まで生まれてきた女子が皆このような仕打ちを受けていたわけではない。
だが、2人の父もまた、幼い頃から家を継がなければいけないと言う重圧に押し潰されながら育ったため、性格が歪んでしまったのだ。
2人は1番奥にある別室へと連れて行かれた。