第2章 任務
チリン…チリン…
鈴の音が聞こえてきたかと思うと、杏寿郎の前に千寿郎が現れた。
「…千寿郎…か?」
「兄さん!鬼に連れてこられてしまいました!」
杏寿郎は、はっとする。
千寿郎は杏寿郎の事を兄上と呼ぶ。
(これは鬼の仕業か!?)
ふと見るとすぐ側にある木の枝に、妙な鈴が括りつけてあることに気付きそれを斬る。
霧と千寿郎の幻覚が消え元の景色に戻ると、目の前には鬼がいた。
「簡単に見破ってしまうとは面白みのないやつよのぉ」
「この濃霧はお前の血気術か?大切な仲間とはぐれてしまったではないか。この煉獄の赫き炎刀でその頸焼き尽くしてやろう!」
チリン…
再び鈴の音が聞こえると、鬼の手には意識を失った星波が抱えられていた。